極北の山男「キムナイヌ」
概要
アイヌ語で「山にいる人」。北海道は大雪山に伝えられるアイヌの山男である。
アイヌだからといって特別な事はなく、本州の山男同様基本的には人に対して友好的で「アネシラッキ ウタラ イカスウ ワ(守り神さんたち、手伝っておくれ)」というと荷が軽くなったり、山の仕事を手伝ってくれたりする。
また、煙草が好物で山の中でタバコを吸っていると寄ってきて「山の神さんにあげます」というと害を加えることはしないという。
禿頭との説もあり、禿げ頭の事を口にするとたちまち怒って急に雨が降ってきたり、どこからともなく枝や小石が落ちてきたり、大木が倒れてくるという。そんなときはキムン ポネカシ ヤイカ ニー オツイ ナー(山の小父さん、お前さんの上に木が倒れていくよ)」と唱えると、キムナイヌは退散して行くという。
山男は先住民?それとも類人猿?
「山男」の正体は諸説あるが、かの有名な妖怪研究家の柳田國男は山人はその昔、日本で繁栄していた先住民の子孫であると述べ、「山人即ち日本の先住民」はもはや絶滅したという通説には同意してよいとしつつも、ある時代までは必ず居たと推定されるとした。
また植物研究家兼民俗学研究科の南方熊楠はただ特種の事情によってやむを得ず山に住み、時勢遅れの暮らしをして世間に遠ざかっている人間の男(または女)というほどのことだと述べている。
つまり柳田の先住民説に対して例えば借金や犯罪などで平地に住むことが出来ず、山に逃げ延びた人なのではないかと反論したという事だ。
また、南方は「真の山男」は「学術的に申さば、原始人類ともいうべきもの」であり、その多くは大きな猴(サル)類を誤って伝えたものであるとした。
つまり南方としては真の山男は猩々やゴリラであるという事である。
また、それ以外にも精神に異常をきたした者や、白人であるとの説もある。この辺りから天狗や鬼に派生していく。
「キムナイヌ」は山の精?
諸々先人たちが予想した山男であるが、すべて妖ではなく、形と存在がはっきりしている「正体のある妖怪」である、という意見であった。
しかし、キムナイヌの目撃談をみると天候を操ったり、「どこからともなく」枝や木が倒れてくるなど、とてもじゃないが人の範疇を超えた出来事が起きていることがわかる。
つまり、キムナイヌは其れこそ「山の精」や「山の神」であるという事であろう。
しかし山の神でも禿げに悩んでいるとはなかなかお茶目な一面があるといえる。(それで殺されるのもたまったものではないが。)
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\ (´・ω・`)また髪の話してる
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(γ /:::::::
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